ロケット海上打ち上げ企業「シーローンチ」がロシアの航空会社に買収され、米国で行われているIAC(国際宇宙会議)2016で調印式が行われました。買収額は1億5千万ドル(約150億円)です。
シーローンチは、浮遊式の海上プラットフォームを用いて海上からロケットの打ち上げを行う企業です。1995年に、米国の航空会社「ボーイング」やロシアの宇宙開発企業「RSCエネルギア」などによって出資されて作られました。さらに、使用しているゼニート・ロケットはウクライナ製ということもあり、いくつかの国や企業が絡んでいる難しい立場に置かれた企業です。実際に、ボーイングとRSCエネルギアの間では訴訟問題も発生しています。
ロケットを打ち上げる際は、ロケットを載せたプラットフォームが赤道直下まで移動します。打ち上げは、赤道に近ければ近いほど効率が良いからです。赤道上は地球の自転の速度が最も速いところなのでその速度を利用でき、さらに静止軌道への投入もしやすいのです。しかし、シーローンチは数回の事故を起こし、2009年には経営破綻してしまいました。2014年以降は打ち上げを行っていません。
経営破綻後は、RSCエネルギアがほとんどの株を保有していましたが、今回、ロシアの「S7グループ」に全て売却されました。S7グループは、ロシア最大手の航空会社「S7航空」を持つグループです。なお、RSCエネルギアは今後も技術的なサポートをします。S7グループは一度の打ち上げ費用を6500万~7600万ドルにする、としています。
そして報道によれば、約2年後にはロケットの打ち上げを再開する見通しです。S7グループの最高責任者Vladislav Filev氏は「シーロンチが最終的な活動再開の承認を受けることができたら、約18ヵ月で活動を再開することができます。我々は15年の間におよそ70回の打ち上げを行うつもりです」と展望を語りました。
止まっていたシーローンチの打ち上げが、今回の買収によって再び動き出すことになりそうです。
Image Credit: Sea Launch
■Russian aviation company to acquire Sea Launch
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