宇宙開発の歩みを進めているのは、もちろん中国だけではありません。オービタルATK社の「アンタレス」ロケットは17日(現地時間)、ヴァージニア州のワロップス飛行施設から2年ぶりとなる打上げに成功しました。
アンタレスロケットは以前にも国際宇宙ステーション(ISS)への物資運搬を行ってきましたが、2014年には打上げ直後に爆発事故をおこし積荷ごと喪失。その後にエンジンをNPOエネゴマシュの「RD-181」に切り替え、燃焼試験などを行ってきたのです。
今回、アンタレスはシグナス補給船を搭載してISSへと打上げられました。積荷は5,000ポンド(約2,300kg)の食料や補給品、科学実験機器などとなっています。また実験装置としては微重力下における燃焼実験を行なうものや、照明による宇宙飛行士への健康上の影響を調べるものもあります。
シグナス補給船はISSへと2日半後に到達しますが、その接続は10月23日になります。これはソユーズ宇宙船が今週金曜日に3人の新たな長期滞在クルーをISSへと運搬するため、その作業が完了してからドッキングが行われるためです。また、シグナスのドッキング作業は現在ISSに滞在している大西卓哉宇宙飛行士が行う予定となっています。
そしてISSに接続されたシグナス補給船は5週間に渡って係留され、11月にISSから分離します。分離後は宇宙船内の火事を想定し、船内にて点火をする「Saffire実験」を行う予定です。以前にもシグナス補給船による火災実験は行われたのですが、今回は9つの異なる素材を燃やし、炎の広がり具合を観察。そして最終的に、同補給船は大気圏に突入して燃え尽きることとなります。
今回打上げを成功させただけでなく、すでに年内の次期ロケット打ち上げにむけて動き出しているオービタルATKとアンタレスロケット。今後もISSへの物資輸送において、重要な役割を果たしてくれることでしょう。
Image Credit: The Verge
■Orbital ATK’s Antares rocket returns to flight with successful launch to the space station
http://www.theverge.com/2016/10/17/13306882/orbital-atk-antares-rocket-launch-success-cygnus-iss?utm_source=rss&utm_medium=rss