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欧露の着陸機、火星に激突して「黒いシミ」になった可能性 NASA衛星が画像撮影

sorae.jp 2016年10月22日 9時32分


 
予想されていた、しかし最悪の事態でしょうか。ヨーロッパとロシアによる火星探査計画「エクソマーズ」として打上げられた2つの探査機のうち、火星への着地を目指していた着陸機「スキアパレッリ」。信号が未確認となっていた同着陸機のものと思われる「黒いシミ」を、NASAの衛星が画像撮影しました。
 
探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」と合体した状態で打上げられたスキアパレッリは、10月16日(グリニッジ標準時)に分離に成功。しかし19日の火星着陸の1分前から信号が途絶していました。そして今回、火星を周回しているNASAのマーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)がスキアパレッリの着陸予定地点を撮影したのですが、そこで発見したのは探査機ではなく「黒いシミ」だけだったのです。
 
画像の右側を見ると、スキアパレッリのパラシュート(12メートルサイズ)と思われる明るい点があります。そして、黒いシミのサイズはおそらく15〜40メートル。これは、スキアパレッリの衝突の衝撃によってできたものだろうと、ESA(欧州宇宙機関)が公式に認めています。
 
ESAが21日に発表した見解によれば、「推測によれば、スキアパレッリは2〜4kmの高度から落下し、おそらく時速300km以上で火星に激突したものと思われます」とのこと。「衛星写真の黒いシミの大きさから、これは表面の土壌が吹き飛ばされたものでしょう。また、燃料用タンクが満載の状態でスキアパレッリが爆発した可能性もあります。いずれにせよ、今後もスキアパレッリの調査を続ける予定です」
 
スキアパレッリは2020年に予定されていた「エクソマーズ」の火星探査車(ローバー)の着地にそなえ、着陸技術を検証するという使命も帯びていました。ですのでスキアパレッリが今回のような結果に終わったことで、探査車の設計にも見直しが必要になってくることでしょう。
 
また、NASAのMROは来週にはより高解像度なカメラでこの着陸地点を撮影する予定です。その時に、スキアパレッリのミッションの成否は確定されるものと思われます。「火星生命の探査ミッション」を標榜としているエクソマーズ計画ですが、その道程はやすやすとはいかないようです。
 
Image Credit: Space.com
■RIP, Schiaparelli: European Mars Lander’s Crash Site Seen By NASA Probe
http://www.space.com/34472-exomars-mars-lander-crash-site-photos.html?utm_source=rss&utm_medium=rss

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