以前にも地殻運動による収縮が伝えられた、太陽系第一惑星の「水星」。その水星で、新たに惑星の収縮を示す大規模な渓谷が発見されました。
今回の渓谷は、2015年に水星の観測を終えた探査機「メッセンジャー」のデータから発見されたものです。同衛星からのデータから、研究者は深さ3km、長さ400kmにもおよぶ渓谷を発見。これは水星の冷却とそれに伴う縮小からできたものと考えられます。
すべての惑星は時間の経過とともに冷却し、その表層とマントル上部(リソスフェア)は移動し歪みができます。例えば地球でも、複数プレートの縮小によりアフリカの大地溝帯が形成されました。一方水星では、唯一のプレートが縮小したことで表層の盛り上がりと陥没ができたのです。
今回科学者たちは、水星の南半球の高解像度地形図の作成に成功。そして、そこに「Great Valley」と名付けられた渓谷を発見。この渓谷はレンブラント盆地という水星最大の衝突盆地に位置しています。そして、水星の収縮は渓谷の両側に「Enterprise Rupes/Belgica Rupes」という急斜面を作り出しています。また、このような急斜面は同じく収縮活動があったと思われる月でも見つかっているのです。
研究者の一人のThomas R. Watters氏は、「たとえ縮小しつつあるプレートが1枚しかない惑星の表層の歪みを想像するとしても、急斜面を含む巨大な渓谷を見つけたときには驚くことでしょう」と語っています。
このように偉大な業績を残して任務を終えたメッセンジャーですが、すでに後継機となる水星探査機「ベピ・コロンボ」の計画がJAXA(宇宙航空研究開発機構)とESA(欧州宇宙機関)によって進んでいます。同探査機の打ち上げ予定時期は2018年で、2024年にも水星に到達する予定です。
Image Credit: NASA/JPL
■Mercury’s newly discovered Great Valley points to shrinking planet
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