さまざまな観測衛星でその活動が見守られている「太陽」ですが、先週末にはちょっと興味深い現象が報告されました。NASAの太陽観測衛星「STEREO-A」が撮影した画像に、謎の光る光球が写っていたのです。インターネット上ではUFOの出現か!?などとちょっとした話題になりましたが、その正体をNASAが明かしてくれました。
「これは、STEREOからの太陽と宇宙空間のイメージを組み合わせた時に発生した、コンピューターのエラーなのです。このような現象は時々起こります」と語るのは、NASAの研究員のC. Alex Young氏。あ、ただのエラーだったのね……。
確かにこの画像の撮影時には太陽に「穴」があったのは事実ですが、それはこのような光の玉としては出現しません。それはもっと巨大な「コロナホール」という現象の一端です。これは太陽表面の温度が低い場所で、太陽の磁場が宇宙空間に向かって吹き出す場所でもあります。そして、太陽風を構成する荷電粒子がこの場所から飛び出しているのです。
上の画像は、すこし後に太陽観測衛星「SDO」によって撮影されたコロナホールです。太陽の上の方にポッカリと空いた黒い空間、ここが太陽の温度が低い場所となっています。また太陽風によって宇宙空間に放出された粒子は地球にも飛来し、送電網や人工衛星に一時的な障害を引き起こすのです。また同時に、太陽風はオーロラの発生原因になることでも知られています。
実は先月末にもこのような巨大なコロナホールが出現しており、太陽の27日の回転周期によって今回再び観測されました。先月末のほうがそのサイズは大きかったのですが、現在見えているコロナホールもなかなか巨大なものです。
人工衛星や送電網に悪影響を及ぼしながら、美しいオーロラをみせてくれる太陽風。ありがた半分、迷惑半分といったところでしょうか。
Image Credit: NASA/SDO, @TheSunToday
■Holes in the Sun! One’s Real, the Other Not So Much (Video)
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