KDDIをオフィシャルパートナーにつけた「au×HAKUTO MOON CHALLENGE(以下、HAKUTO)」も参加する、月面探査レース「Google Lunar X Prize」。そこに参加するベルリンベースのパートタイム・サイエンティスツが2台のアウディーブランドのローバー(探査車)を月面に送り込み、アポロ17号計画で利用された月面車の調査を行なうと発表したのです。こちらもなんとも興味深い計画ですね!
Google Lunar X Prizeには現在16チームが参加。そのうちの1つであるパートタイム・サイエンティスツは2008年から自動着陸やナビゲーションモジュール、そして探査車「アウディ・ルナ・クワトロ」を開発してきました。そして今回、同チームはロケットライドシェア企業のSpaceflight Inc.,と打ち上げについて契約したのです。
パートタイム・サイエンティスツのローバーはタウルス・リットロウ渓谷に着陸する予定です。ここは人類最後の有人月面探査となった、1972年のアポロ17号の活動地点。そして同チームのローバーは月面に残された月面車(LRV-003)への接近と観察を計画しているのです。またこの地点は地質学的に興味深いだけでなく、岩が少なくフラットだという特徴もあります。
アウディ・ルナ・クワトロはアポロ17号の痕跡に傷をつけないように、その活動地点から3〜5km離れた場所に着地する予定です。またGoogle Lunar X Prizeは最初に月面に降り立ってローバーを動かし動画を送信したチームに賞金を与えるだけでなく、アポロ計画の着陸地点を撮影したチームにはボーナスも登場します。つまり、この地点への着陸は科学的にもレースとしても大変意義があるのです。
なお、チームはアポロ17号計画に参加し、最後に月面に降り立った人類ことユージン・サーナン船長から「俺が月面車で作ったスピード記録(18km/h)は破るなよ」と、激励の言葉を受けています。またアウディと共同でアクティブサスペンションと太陽光発電装置を搭載した軽量ローバーを開発するなど、その準備は万全なようです。さらにローバーは2つのカメラによる3D画像の撮影や、3つ目のカメラを利用したパノラマ撮影も可能です。
上の画像は、パートタイム・サイエンティスツの着陸とナビゲーションモジュール「ALINA」。なかなか頑丈そうです。すでにGoogle Lunar XPRIZEの参加チームとしてはイスラエルのSpaceIL、アメリカのMoon Express、国際連合チームのシナジー・ムーンがロケット打ち上げの契約を結んでおり、ドイツチームは4番目となります。
なお、パートタイム・サイエンティスツのロケット打ち上げは2017年を予定。そして日本チームのHAKUTOも同年のロケット打ち上げを予定しています。果たしてどちらのチームが先に月面着陸を実現させ賞金を勝ち取るのか、いよいよ目が離せなくなってきましたね!
Image Credit: PTScientists
■Moon-Race Team Reserves Rocket to Land Rovers Near Apollo 17 Site
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