なんて壮大なスケールなんでしょう。2015年に天文学者が史上最も明るい超新星爆発「ASASSN-15lh」を観測したのですが、近年のハッブル宇宙望遠鏡の観測により、実はこの現象は「超巨大なブラックホールが星を引き裂いた時の輝き」だと考えられているのです。
2015年6月に観測されたこのイベント、なんと銀河系全体の星の20倍もの明るさが観測されていました。当時、天文学者はこれ凄まじい強さの磁場を持つマグネター(中性子星の一種)が引き起こしたと考えていたのです。しかしASASSN-15thの発見者のKris Stanek氏からも、この説明は不完全であることが示唆されていました。
そして今回ハッブルとヨーロッパ南天天文台の観測結果により、ASASSN-15lhが辿った過程からこれはブラックホールがなにかを引き裂いた結果だと推測されたのです。さらに、研究チームは温度の上昇や紫外線の再照射を確認。これは超新星爆発では観測されないものです。またASASSN-15lhの位置も、通常明るい超新星爆発の起きない場所だったのです。
現在、研究チームはASASSN-15lhを超巨大なブラックホールが太陽のような恒星を引き裂いた結果だと考えています。そして引き裂かれた恒星はそれぞれの破片が衝突して膨大な熱を発し、ブラックホールへと落下していったのです。またこのような現象なら、2015年に観測された非常に明るい光の説明もできます。
研究チームはこの理論はまだ完成していないとしながらも、ASASSN-15lhのような現象はこれまで10例ほどしか観測されていない珍しいものだと語っています。ただしこのように通過する星をバラバラに引き裂くには超巨大なブラックホールが超高速で回転している必要があり、まだまだ研究を進める必要がありそうです。
Image Credit: ESO, ESA/Hubble, M. Kornmesser
■Brightest ‘supernova’ ever found may actually be a black hole gobbling up a star
http://www.theverge.com/2016/12/12/13926704/supernova-asassn-15lh-black-hole-star-hubble-space-telescope?utm_source=rss&utm_medium=rss