惑星から準惑星へと定義が変更された、地球からはるか離れた「冥王星」。そこには探査機「ニュー・ホライズンズ」の観測からハート模様やクジラのような模様があることがわかっているのですが、新たな研究によるとそのクジラ模様は衛星「カロン」を生み出した天体衝突によってできた可能性があるそうなんです。
そもそもどこがクジラ模様なんじゃい!と突っ込まれそうですが、一応ハートの左下の黒い部分がクジラっぽいとされています。この地域は非公式に「クトゥルフ(Cthulhu)」というSan値が下がりそうな名前がつけられており、そのサイズは横3,000kmに縦750kmほど。また有機物の「ソリン」の存在も予測されています。
そして、東京大学などの研究チームはこのクジラ模様が巨大な天体の衝突によって発生し、またそれにともなって衛星カロンが誕生したことを報告しています。ちょうど、地球に火星大の天体が衝突して月が誕生したとされる「ジャイアント・インパクト説」にも似ていますね。また、隕石の衝突で冥王星には温かい海が広がり、有機物が生成されたことも推測されています。
そして実験では、有機分子を長時間熱し続けると黒〜赤色に変色することを発見。これと同様の現象が過去の冥王星でも起き、クジラ模様を生成したと結論づけたのです。またシミュレーションでは冥王星の質量の3分の1ほどの天体の衝突なら、カロンとクジラ模様の生成が可能だと報告しています。
これまでもさまざまな探査機が小惑星などを観測することにより「太陽系の成り立ち」を探ってきましたが、今回の報告もまたその過程を説明する一つのヒントになりえそうです。
Image Credit: NASA
■Did Pluto’s Weird Red Spots Result from Crash That Spawned Charon?
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