理化学研究所や東京大学はチリのアタカマ砂漠に設置されたアルマ望遠鏡(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計:ALMA)を利用して、「原始惑星系円盤」を観測し原始星の誕生の仕組みの一部を解明したと発表しました。
この原始惑星系円盤ですが、星の誕生の際に分子雲が自己重力で集まることで誕生します。しかし分子雲は原始星に近づくと重力よりも遠心力のほうが大きくなるので、円盤が形成できないという謎があったのです。
そこで今回はアルマ望遠鏡を利用しておうし座の太陽型原始星を観測。そしてアルマ望遠鏡の発表によれば、「円盤の端で原始星方向へ落下するエンベロープガスが滞留・衝突し、円盤と垂直方向に膨れ出している」ことを発見したのです。つまり、回転するガスと外側のガスの衝突によって衝撃波が発生し、回転の勢いを殺して内部へとガスが落下できる……というのが、今回の研究内容となっています。
このような重力よりも遠心力が大きく、惑星系円盤が安定して形成される理由がわからなかったことは「惑星系円盤誕生における角運動量問題」と呼ばれていました。また惑星系円盤ではガスが原始星に最大限近づける距離「遠心力バリア」の位置が特定されており、今回の観測はその付近の構造を明らかにするために行われたのです。
今後、研究チームは惑星系円盤形成のシステムの解明が大幅に進むことを期待しています。このような研究が進めば一般的な惑星系誕生の仕組みだけでなく、太陽系の惑星の形成の仕組みも解明できるかもしれません。
Image Credit: ALMA
■2017年2月08日 惑星系円盤誕生における角運動量問題解決の糸口—アルマ望遠鏡で直接観測—
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201702088114.html?utm_source=rss&utm_medium=rss