沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームが、小惑星イトカワの表面で岩や砂礫(されき:砂や石)が分けられる仕組みについて、研究成果を発表しました。米国ニュージャージー州ラトガース大学との共同研究で、3月10日付けの米国物理学会誌Physical Review Lettersに掲載されました。
2005年に小惑星探査機はやぶさが着陸したイトカワ。その表面は特徴的な地形でできています。はやぶさが撮影した表面の画像を見てみると、岩でできた凹凸がある高地、砂礫でできた平らな低地、と地形が綺麗に分かれています。この地形は「ブラジリアンナッツ効果」によってできたものだと考えられてきました。様々な大きさのナッツが入った入れ物を振ると、ブラジリアンアッツのように大きく重いナッツが上に浮き上がってくる、という現象です。しかし、それだけではイトカワの表面が、横方向に岩と砂礫で分かれていることの説明ができません。
そこで「反跳(はんちょう)選別現象」と名付けられた説が考えられました。イトカワの特殊な地形は「小さな砂礫が大きな岩にぶつかると大きく跳ね返り、砂礫の多い場所では砂礫の中に沈み込むためにできている」という説です。
砂礫が岩にぶつかると跳ね返って遠くに飛ばされます。飛ばされた砂礫が同じくらいの大きさの砂礫が集まる地点にぶつかると勢いが吸収されてそこで止まります。これが繰り返されることで、岩と砂礫に分けられるのです。
研究チームは実験とコンピュータシミュレーションから現象を確認しました。
OIST流体力学ユニットのピナキ・チャクラボルティー准教授は発表について、「今回の私たちの研究成果は、今後の宇宙探査、特に探査機が小惑星に着陸する場所を決定するのに重要な意味をもつと言えます。小惑星ベンヌや、はやぶさ2が向かっている小惑星リュウグウ、さらに2021年にNASAが打ち上げを予定している木星のトロヤ群小惑星の探査にも役立つでしょう」とコメントしました。
Image Credit: JAXA、OICT
■小惑星「イトカワ」の謎の解明-太陽系研究に大きな一歩 沖縄科学技術大学院大学
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