2019年会計年度の予算教書にて、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)への出資を2025年に打ち切り、一部や全部の運営を民間へと委託する可能性を示唆しました。
2018年2月12日(現地時間)に公開された予算教書では、NASAは1億5000万ドル(約160億円)の予算で低軌道における民間宇宙開発の支援が盛り込まれています。今後ISSは現状のまま運用されるか、民間企業と協力して公開プラットフォームにするか、あるいは民間企業の所有物にするか、などの選択肢がありえます。
現在ロシアはISSのロシアモジュールを利用した新宇宙ステーションの建設に興味を示しています。また同じくISSを運営するカナダやヨーロッパ、日本は2024年以降のISSの運営については、明確な方針を打ち出していません。
さらに予算教書では、宇宙開発の拠点を地球低軌道から月周辺へと移すことも明かされています。予定では2022年に月周辺に「ディープ・スペース・ゲートウェイ」建造のための電源、推進システムを打ち上げ、2023年には大型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」と「オリオン」宇宙船による宇宙飛行士の月周辺への打ち上げも予定しています。
一方では、2020年台半ばの打ち上げに予定されていた次世代宇宙望遠鏡「WFIRST(広視野赤外線サーベイ望遠鏡)」の予算が削減されています。またその他にも、いくつかの地球観測ミッションがキャンセルされており、トランプ政権の「地球周辺から月へ」という方針が明確に打ち出されている形です。
Image Credit: NASA
■NASA Budget Proposal Plans End of NASA Funding of ISS, Seeks Commercial Transition
https://www.space.com/39661-nasa-2019-budget-proposal-ends-iss-funding.html
■Trump’s 2019 NASA Budget Request Puts Moon Ahead of Space Station
https://www.space.com/39671-trump-nasa-budget-2019-funds-moon-over-iss.html
(文/塚本直樹)