「卵星雲(Egg Nebula)」と呼ばれる天体は、はくちょう座の方向約3000光年離れた場所にある原始惑星状星雲です。
太陽クラスの質量の星は、最終の姿である惑星状星雲へと進化していきますが、原始惑星状星雲はその1つ手前の過程。「卵星雲」の様な原始惑星状星雲は、全天でも多くは見つかっていません。
この画像を見ても分かるとおり、星雲の中心領域は「繭」の様な深い霧に包まれており観測することはできません。その「繭」を両極から突き抜けて放射される光線が星雲全体を照らしています。そのメカニズムはよく分かっていませんが、中心星が連星によることが原因と考えられています。また、水の波紋のように見える多重のリング構造は中心星から一定周期で放出された外層によるもの。同じような構造は「キャッツアイ星雲」にも見られます。
この画像はハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ「WFPC3」の光学V/SII、赤外Iによって撮影され、2012年4月に公開されました。それにしても、目が眩むような錯覚画像に感じてしまう興味深い一枚ですね。
Image Credit:ESA/Hubble & NASA
■Hubble images searchlight beams from a preplanetary nebula
https://www.spacetelescope.org/images/potw1217a/