赤外線宇宙望遠鏡スピッツァーが捉えたのは、高速に移動する赤色巨星と「弓」の形をした天体の姿です。
画像中央に見られる青く輝く星が、「へびつかい座ゼータ星(Zeta Ophiuchi)」。この「へびつかい座ゼータ星」は毎秒24kmで移動しており、恒星風を撒き散らしながら周囲のガスや塵に影響を与え、弧状衝撃波である「バウショック」によりアーチ状の形を作り上げています。
その昔は連星系であった「へびつかい座ゼータ星」は、パートナーの超新星爆発によって吹き飛ばされた結果、高速に移動しているものと考えられています。
約460光年離れたこの星は、太陽の20倍の質量を持ち6.5万倍の明るさを持っていますが、塵によって地球に届く光は遮らえています。もしも、ゼータ星が塵に隠されていなかった場合、全天でも最も明るい星の1つになった可能性もあります。
なお、青色巨星である「へびつかい座ゼータ星」は高温に激しく燃料を消費している恒星で、残り数百万年と短命です。かつてパートナーのあった空間から遙か遠い場所で、超新星となり星の終わりを迎えることになります。
融合する星もあれば、離れていく星もあります。比較にならない規模ですが、まるで人間模様を見ているようですね。
Image Credit:NASA, JPL-Caltech, Spitzer Space Telescope
■Zeta Oph: Runaway Star
https://apod.nasa.gov/apod/ap170408.html