ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたこの天体は「Sh 2-106」と呼ばれる小さな星形成領域。「S106」と略されることが多いこの天体は、はくちょう座の方向約3300光年の位置にあります。
「S106」の中心部には、大質量の星である「S106 IR」が存在し、双極に吹き出す砂時計状のガスの星雲と、その中に見られる乱流を作り出しているといいます。
また、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ「WFC3」の可視光(H-α)、赤外線(1.1/1.6 μm)の3つの波長で撮影されたこの画像では、中心星から放たれた紫外線によって電離された水素を青く着色しています。薄く広がる白い雲のように捉えることで、その構造を鮮明に映し出すことに成功しています。
「星のゆりかご」とも呼ばれる星形成領域ですが、疑似カラーによっては、”微笑ましいゆりかご”のイメージとは真逆の”荒れ狂う驚異”の様にも見えてしまいますね。
Image Credit:NASA & ESA
■Hubble view of star-forming region S106
https://www.spacetelescope.org/images/heic1118a/