こちらの画像は、NASAの木星探査機「ジュノー」が搭載する光学観測機器「JunoCam」によって2019年2月13日未明(日本時間)に撮影された、木星の北極地域の南端に近いエリアの様子です。このときジュノーは木星の北緯44度、雲の上およそ8,000キロメートルの高度にありました。
画像の中央、右上から左下にかけて伸びる濃い色の部分は、「ブラウンバージ(Brown Barge)」の名で知られる木星の大気現象のひとつです。2018年9月に木星の南半球で撮影されたブラウンバージは細長い楕円形でしたが、今回撮影されたものは「Jet N4」と呼ばれるジェットストリームのなかで帯状に長く広がっています。
白っぽい雲で覆われた木星の大気に巨人が腕を入れてかきまぜたような、独特の模様を描き出していますね。コントラストが強調されていないので少しわかりにくいものの、長いブラウンバージやその左下にある白い斑点、画像右側に幾つか写っている渦巻く雲からは、太陽系最大の惑星が抱えているエネルギーの強大さが感じられます。
なお、この画像はNASAが一般向けに公開しているJunoCamのRAW画像をもとに、市民科学者のGerald Eichstädt氏とJustin Cowart氏の手によって作成されました。探査機が撮影した生の画像を扱えるというのも、「パイオニア」や「ボイジャー」といった過去の探査機たちが木星を観測した頃からすれば、夢のような時代になったものです。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstadt/Justin Cowart
https://www.jpl.nasa.gov/spaceimages/details.php?id=PIA22945
文/松村武宏