暗い闇夜に放ったサーチライトの様なこの天体は、おとめ座の方向約5500万光年先に位置する巨大楕円銀河「M87」です。直径が約12万光年あると推測されており、数兆個の星と約13000個もの球状星団を含んでいます。
この銀河の中心から長く伸びる青白い物体は、「M87」の中心にある太陽の数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールから放出されたジェットです。活動銀河核のブラックホールは周囲の物質を飲み込むと同時に、光速に近い速度でジェットを放っています。
また、2016年3月には国立天文台水沢VLBI観測所の秦和弘助教を中心とした研究チームが、「M87」から放たれるジェットの運動の観測に成功した研究結果を発表しており、噴出口付近におけるジェットの「超光速運動」(見かけ上、光速を上回る速度)が確認されています。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の広域惑星カメラ2「WFPC2」の紫外線、可視光、赤外線波長を利用して撮影し、2000年6月に公開されたものです。
Image Credit:The Hubble Heritage Team (STScI/AURA) and NASA/ESA
https://www.spacetelescope.org/images/opo0020a/