このぼんやりした光は、2000億個という星々から構成される巨大な楕円銀河で、2019年3月18日に公開されたものです。滑らかな楕円の構造を持つ楕円銀河は、渦巻銀河の様な渦状腕などの特徴を持っておらず、一見シンプルな天体の様にも思えます。
「M49」と呼ばれるこの銀河は、1771年にフランスの天文学者シャルル・メシエによって発見されました。おとめ座の方向約5600万光年という果てしない場所に位置していますが、質量も大きいため非常に明るいのも特徴です。
「M49」の様な楕円銀河は、渦巻銀河と比較して構成している星の大半が年老いた星であることが分かっており、白く見えるこの画像とは異なり実際は非常に黄色み掛かった色をしています。それは「M49」を構成する星が古い星であることを示唆しています。また、この銀河で最後に行われたとされる星形成活動は約60億年前。つまり、一番若い星であっても太陽よりも十数億歳の差があることになります。
さらに、約6000の球状星団も含まれている「M49」には、銀河の中心から強力なX線が確認されており、太陽の5億倍という大質量のブラックホールが存在している可能性があります。
この画像は、X線波長で捉えたものではありませんが、ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ「ACS」と広視野カメラ3「WFC3」の可視光と赤外線で捉えた、霧の中に輝く美しい楕円銀河を眺めることができます。
Image Credit:ESA/Hubble & NASA, J. Blakenslee, P Cote et al.
https://www.spacetelescope.org/images/potw1911a/