1969年5月19日(日本時間)、NASAのケネディ宇宙センターから「アポロ10号」が打ち上げられました。この打ち上げから昨日で50年、NASAは「スヌーピー」のキャラクターでおなじみ「Peanuts Worldwide(ピーナッツ)」との連名でアポロ10号の打ち上げ50周年を祝うとともに、NASAとスヌーピーの由来について触れたコメントを発表。ピーナッツもTwitterの公式アカウントを通してお祝いのコメントを寄せています。
Celebrate the 50th Anniversary of @nasa’s Apollo 10 mission with Snoopy! Now streaming for free on Apple TV: https://t.co/8zFTd8d4Jf pic.twitter.com/kSFevNmKE9
— PEANUTS (@Snoopy) May 17, 2019
「どうしてスヌーピーが?」と不思議に思われるかもしれませんが、実はNASAとスヌーピーには深いつながりがあるのです。
1968年、NASAは有人飛行の安全性やミッションの遂行に貢献した人物に贈る賞を創設しました。そのシンボルとして、一般の知名度も高く、飛行の安全を監視する“番犬”として、スヌーピーが選ばれたのです。「Silver Snoopy Award(シルバー・スヌーピー賞)」と命名されたこの賞の受賞者には、スヌーピーがデザインされた純銀製のピンが贈られます。
アポロ10号の任務は、月面着陸に備えた最終リハーサルでした。前年となる1968年の12月、「アポロ8号」が有人の宇宙船としては初めて月の周回軌道に乗りましたが、このときは「司令・機械船(Command and Service Module: CSM)」(操縦と帰還のための司令船と、強力なエンジンを備えた機械船を合わせたもの)のみで月に向かいました。アポロ10号ではここに「月着陸船(Lunar Module: LM)」(2人の飛行士を乗せて月面に着陸するための宇宙船)も加えた、本番さながらの構成で打ち上げられたのです。
船長のトーマス・スタッフォードと月着陸船操縦士のユージン・サーナンが乗り込んだ月着陸船は、月面まであと9マイル(15km弱)という至近距離まで降下した後に、司令船操縦士ジョン・ヤングが待つ司令・機械船とドッキングを果たし、地球へと帰還しました。着陸を除くすべての行程を実践したアポロ10号のミッションがあったからこそ、歴史に刻まれた「アポロ11号」の有人月面着陸ミッションも遂行できたのです。
着陸はしなかったアポロ10号ですが、その後ジョン・ヤングは「アポロ16号」、ユージン・サーナンは「アポロ17号」の船長にそれぞれ任命され、月に降り立ちました。また、ジョン・ヤングは「スペースシャトル」計画最初の打ち上げにおいて「コロンビア」の機長も務めています。
現在も関係が続くNASAとスヌーピー、その一つの頂点とも言えるのが、このアポロ10号のミッションでした。アポロ計画の司令・機械船と月着陸船には、すべてコールサインが付けられています。たとえばアポロ11号の場合、月着陸船は「イーグル」、司令・機械船は「コロンビア」と名付けられていましたが、アポロ10号ではなんと月着陸船に「スヌーピー」、司令・機械船に「チャーリー・ブラウン」の名が与えられていました。こうした縁もあって、打ち上げ50周年をお祝いするコメントがピーナッツから寄せられたというわけです。
ピーナッツの公式Twitterアカウントは今年の4月、現在NASAが開発中の新型宇宙船「オリオン」に乗って、スヌーピーが月へ戻るともツイートしています。2024年の有人月面着陸を目指す「アルテミス」計画でも、ひょっとしたらスヌーピーとのコラボレーションが見られるのかもしれません。
Snoopy is returning to the moon aboard @NASA_Orion spacecraft and @NASA_SLS rocket that will take future astronauts to deep space and usher in a new era of space exploration. pic.twitter.com/K4W68T1t50
— PEANUTS (@Snoopy) April 25, 2019
Image credit: NASA
https://www.nasa.gov/feature/nasa-and-peanuts-celebrate-apollo-10-s-50th-anniversary
文/松村武宏