ドイツのマックス・プランク太陽系研究所は5月22日、NASAの宇宙望遠鏡「ケプラー」のデータをRené Heller氏らの研究チームが再解析したところ、これまで知られていなかった地球に近いサイズの系外惑星が新たに18個発見されたと発表しました。
こちらの画像は、新たに発見された系外惑星の大きさを、太陽系の惑星である地球および海王星と比較したものです。最上段中央にあるのが地球、最下段中央が海王星となります。オレンジ色(17個)と緑色(1個)が、今回発見された系外惑星のサイズ。地球の直径と比べた場合、最大でも2倍程度、最小では69パーセントと、これまで知られていた系外惑星に対してかなり小さなものばかりです。
系外惑星を見つける方法は幾つかありますが、ケプラー宇宙望遠鏡では、恒星の手前を系外惑星が横切る際に生じるわずかな光の変化を捉える「トランジット法」が採用されていました。
ところが発表によると、ケプラーのデータを解析する際に用いられてきた従来のアルゴリズムは小さな系外惑星を見つけるには不十分だったため、これまで見つかった4000個以上の系外惑星の大半は、地球よりも大きなものばかりでした。
そこで研究チームは、より小さな系外惑星を見つけやすくするために、明るさの急激な変化を想定していた従来のアルゴリズムを見直し、明るさのゆるやかな変化もキャッチできるようにアルゴリズムを改良しました。そして膨大なケプラーのデータのなかからすでに1つ以上の系外惑星が見つかっている517の恒星系を選んで新しいアルゴリズムをテストしたところ、18の恒星系から地球のサイズに近い系外惑星が見つかったのです。
このうち、冒頭の画像で緑色に塗られていた「EPIC 201238110.02」は恒星との距離がほどよく、液体の水が存在しうる「ハビタブルゾーン」に位置している可能性が示されています。
もっとも、今回見つかった18個の系外惑星は、わずか500余りの恒星系をチェックする過程で見つかりました。ケプラーのデータはまだ大量に残されていますし、2026年にはハビタブルゾーンに位置する系外惑星の検出を目的とした宇宙望遠鏡「PLATO」を欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げる予定です。
ケプラーやPLATOの観測データを今回開発された新しいアルゴリズムで分析すれば、より理想的な環境に位置し、生命の存在が期待できる地球サイズの系外惑星が見つかるかもしれません。
Image credit: NASA/JPL (Neptune), NASA/NOAA/GSFC/Suomi NPP/VIIRS/Norman Kuring (Earth), MPS/René Heller
https://www.mps.mpg.de/6035572/news_publication_13505027_transferred
文/松村武宏