カリフォルニア州パサデナにある惑星協会(The Planetary Society)のEmily Lakdawalla氏は6月11日、現在活動中の宇宙探査機の場所を示したマップ「Where We Are」の2019年7月1日版を公開しました。
もともと惑星協会の会員向けコンテンツとして作成されている「Where We Are」では、太陽系内の惑星や小惑星の公転軌道上における位置だけでなく、今まさに観測を行っている探査機の最新情報が3か月に一度更新されています。
キャプションはすべて英語で書かれていますが、幅広い会員に向けたものであるためか、難解な専門用語は極力用いられていません。天体と探査機の名称を読み取ることができれば、日本人でも楽しめるコンテンツとなっています。
こちらの画像が最新版の「Where We Are」。小惑星帯よりも内側にある水星/金星/地球/火星が描かれた中段をメインに、月と火星はそれぞれ上と左に詳細が描かれています。NASAが2024年の有人探査再開を目指している月(Moon)や、その先に有人探査が予定されている火星(Mars)では、数多くの探査機が活動していることがわかります。
気になる日本の探査機も3つ描かれています。小惑星「リュウグウ(Ryugu)」で2回目の試料採取に挑もうとしている小惑星探査機「はやぶさ2(Hayabusa2)」は太陽(Sun)の上方に、金星(Venus)を周回観測中の金星探査機「あかつき(Akatsuki)」は太陽の左側にその姿を確認できます。
また、太陽の右に見える地球(Earth)のすぐ近くには、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同開発し、日本の水星磁気圏探査機「みお」を載せた「ベピ・コロンボ(BepiColombo)」の姿が。現在ベピ・コロンボは地球の比較的近くで太陽を周回しており、地球と金星の重力を利用して軌道を変更するスイングバイを来年に控えています。
いっぽう下段には、小惑星帯よりも外側の木星/土星/天王星/海王星と太陽系の外縁が描かれています。活動する探査機の数は小惑星帯から内側よりも圧倒的に少なく、惑星を周回しているのは木星(Jupiter)で活動を続けるNASAの木星探査機「ジュノー(Juno)」ただ1機のみとなります。
すでに太陽圏を脱出したと見られている「ボイジャー(Voyager)1号」「同2号」や、太陽系外縁天体「ウルティマ・トゥーレ」をフライバイ観測した「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」を含めても、下段にはわずか4機しか描かれていません。
なお、「Where We Are」では地球を離れて活動を行っている探査機が描かれているため、地球を周回している「ハッブル」宇宙望遠鏡や「国際宇宙ステーション(ISS)」のように、よく知られていても描かれていない探査機や構造物もあります。
人跡未踏の深宇宙で人間に代わり科学観測を実施している無人探査機たち。各国の火星探査機打ち上げが予定されている来年以降のにぎわいぶりが今から楽しみです。
Image credit: The Planetary Society
http://www.planetary.org/explore/the-planetary-report/where-we-are-spacecraft-locator-july-2019.html
文/松村武宏