宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月25日の会見において、小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星「リュウグウ」への第2回タッチダウン運用を7月11日に実施すると発表しました。
ターゲットとなるのは、4月5日に実施された「衝突装置(SCI)」の運用によって生成された人工クレーターの中心から20mほど離れた場所であり、5月30日にターゲットマーカーが投下された「C01-Cb」領域です。
はやぶさ2の光学カメラは前回のタッチダウン時に付着した砂塵によって、本来よりも受光量が低下しています。また、選定された領域には最大で高さ1m40cmに達する岩の存在も確認されていますが、検討の結果タッチダウン運用が可能であると判断され、今回の決断に至りました。
SCIの衝突によって、リュウグウの表面から深さ最大1m程度まで掘削されて周辺に舞い飛んだイジェクタ(衝突のエネルギーによって周囲に吹き飛ばされた物質)が、C01-Cb領域にはおよそ1cmの厚さで降り積もっていると予想されています。人工クレーター内へのタッチダウンとはなりませんが、第2回タッチダウンによって史上初の「小惑星の地下物質の試料採取」が期待されます。
なお、7月11日にタッチダウンが実施できなかった場合の予備日は7月22日に設定されていますが、太陽との距離関係が変わるとリュウグウにおける温度の条件も変化することから、タッチダウンが実施できるのは7月末までと見込まれています。このことから、今回実施が決定した第2回タッチダウンは、はやぶさ2がタッチダウンを実施する最後のチャンスになるでしょう。
ここまで順調に進んできたはやぶさ2のミッション、2週間後のタッチダウンも無事成功することを願いたいと思います。はやぶさ2は2019年11月~12月にリュウグウを出発し、2020年末頃地球に帰還する予定です。
Image Credit: JAXA
https://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/14783.html
文/松村武宏