フランス国立科学研究センター(CNRS)は8月19日、南天のがか座を構成する「がか座ベータ星(β Pic)」に2つ目の系外惑星が見つかったとするAnne-Marie Lagrange氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、同日付でNature Astronomyに掲載されています。
がか座ベータ星は、地球からおよそ63光年先にあるA型の恒星です。2008年、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」による直接観測によって、半径9.2天文単位(1天文単位は地球から太陽までの距離に由来)の軌道を公転する系外惑星「がか座ベータ星b(β Pic b)」が見つかっています。
誕生してから長くても2300万年ほどしか経っていない若い恒星と考えられているがか座ベータ星の周囲には、がか座ベータ星bだけでなく、ガスや塵からなる円盤や500個近くもの系外彗星も見つかっています。
今回見つかった2つ目の系外惑星「がか座ベータ星c(β Pic c)」は、がか座ベータ星bよりも主星に近い、半径およそ2.7天文単位の軌道を公転していることがわかりました。その質量は木星の9倍で、がか座ベータ星b(質量は木星の10倍)とそれほど大きな違いはありません。
主星に近い軌道を巡るがか座ベータ星cは、がか座ベータ星bのように直接観測することはできませんでした。
研究チームはヨーロッパ南天天文台に所属するチリのラ・シヤ天文台に設置されている観測装置「HARPS」によって蓄積された10年分の観測データを使い、公転する惑星の重力によって主星(がか座ベータ星)の位置がわずかに揺れ動く様子を捉える「視線速度法」によって、がか座ベータ星cの存在を間接的に検出しています。
また、今回の研究によって、がか座ベータ星cの軌道は真円からやや離れた楕円形をしていることもわかりました(推定される軌道離心率は0.24)。がか座ベータ星cについてより詳しく調べるために、研究チームは、今後公開される予定の宇宙望遠鏡「ガイア」による新しい観測データや、現在チリで建設が進められている次世代の超大型望遠鏡に期待を寄せています。
Image Credit: P Rubini / AM Lagrange
http://www.cnrs.fr/en/second-planet-beta-pictoris-system
文/松村武宏