今年2019年8月に見つかった彗星「C/2019 Q4」が、太陽系の外から飛来した「恒星間天体」である可能性が極めて高くなったことがわかりました。アメリカ天文学会の子会社が手がけるスカイ&テレスコープが、9月11日付で報じています。
2017年10月19日に発見された恒星間天体「’Oumuamua(オウムアムア)」は、太陽系外から飛来したことが確認された初の天体であると同時に、その細長い形状や速度変化といった特徴から「地球外生命体が作ったものではないか?」とする説まで登場するほどに話題を呼びました。
今回、太陽系外から飛来した可能性が高まったC/2019 Q4は、もともとは2019年8月30日に新彗星として発見された天体で、このときの太陽からの距離はおよそ3天文単位でした(1天文単位は太陽から地球までの距離に由来)。発見者のGennady Borisov氏が撮影した画像には、C/2019 Q4から短く伸びる尾が写し出されています。
追跡観測によってC/2019 Q4の軌道を計算したところ、太陽への最接近は暫定的に2019年12月10日と予測されており、その離心率はいずれ太陽系から脱出していく双曲線軌道であることを示す約3.2に達するとみられています(ただし、今後の観測によって修正される可能性があります)。
2年前のオウムアムアとの違いは、発見されたタイミングでした。オウムアムアが見つかったのは2017年9月に太陽へ最接近した1か月後のことであり、観測できた期間も数週間に限られました。
いっぽう、C/2019 Q4が太陽に最接近するのは今から3か月後であるため、その前後にかけて観測できる期間がじゅうぶん残されています。
また、C/2019 Q4が彗星であることもオウムアムアとの違いです。オウムアムアは当初彗星として報告されたものの、尾やコマといった彗星の特徴がみられなかったことから小惑星に分類が変更され、その後に恒星間天体であることが判明しました。
これに対し、C/2019 Q4はすでに尾が見え始めています。彗星はその尾を観測することで構成する物質を調べることができるため、恒星間天体であることが確定すれば、太陽系外で形成された天体がどのような物質で作られているのか、オウムアムアよりもさらに詳しい情報を得ることができると期待されています。
なお、彗星の現在の等級(最大18等級)と太陽との距離(およそ2.7天文単位)から、C/2019 Q4の大きさは10kmかそれ以上と推測されており、かなり大きな天体であるとみられています(こちらも今後の観測次第で修正される可能性があります)。C/2019 Q4の続報に注目したいと思います。
Image Credit: Gennady Borisov
[https://www.skyandtelescope.com/astronomy-news/possible-interstellar-comet-headed-our-way/]
文/松村武宏