ヨーロッパ南天天文台(ESO)は9月13日、天の川銀河に一番近い銀河「大マゼラン雲(Large Magellanic Cloud:LMC)」の最新にして美麗な画像を公開しました。
大マゼラン雲は南半球から見ることができる銀河です。地球からの距離はおおむね16万3000光年と近距離にあり、天の川銀河の伴銀河としても知られています。
1987年2月に観測された超新星「SN 1987A」はこの大マゼラン雲で発生したもので、爆発によって生じ地球まで飛来したニュートリノは当時稼働していた観測装置「カミオカンデ」によってキャッチされ、ニュートリノ天文学の幕開けを告げる出来事となりました。
可視光線(人の目で見える光)で大マゼラン雲を観測すると、塵によってもやがかかったように見えてしまい、中心部分をはっきりと見通すことはできません。いっぽう、赤外線は塵を通り抜けるため、その向こう側の様子を詳細に観測することができます。
今回大マゼラン雲を撮影した南米チリのパラナル天文台にある「VISTA望遠鏡」は、可視光線だけでなく赤外線もカバーしています。冒頭の画像は3つの波長の近赤外線(1.02μm、1.25μm、2.15μm)によって撮影されており、色は擬似的に着色したものです。ESOでは可視光線で撮影した大マゼラン雲と今回の画像を比較した動画も公開しています。
日本からは見えないことが残念でなりませんが、ESOではより大きなサイズの画像も公開しています。パソコンやタブレットなど大画面で表示できる環境をお持ちの方は、是非こちらのURL(https://www.eso.org/public/images/eso1914a/)から「Large JPEG」(※446.7MBあるのでWi-Fi等でのダウンロードを推奨します)などの画像を選んでご覧になってみて下さい。
Credit: ESO/VMC Survey
source:ESO
文/松村武宏