18世紀のフランスの天文学者シャルル・メシエが作成した「メシエ・カタログ」の終盤に登場する「M101」は、大きく美しい渦巻銀河です。その大きさは直径が約17万光年で、私たちの銀河系の直径のほぼ2倍に相当します。またM101は、19世紀にアイルランドのロス卿が建設した望遠鏡で観測した渦巻き銀河の1つでもあります。この望遠鏡は当時としては巨大なもので、「パーソンズタウンのリヴァイアサン(怪物)」と呼ばれていました。
このように古くから知られてきたM101ですが、この大きな「島宇宙」(銀河がこう呼ばれていた時代がありました)を現代の宇宙望遠鏡で観測したのが上の画像です。画像は複数の望遠鏡・波長による観測結果を重ね合わせたもので、X線から赤外線まで(高エネルギーから低エネルギーまで)多岐に渡っています。観測したのはチャンドラX線観測衛星(画像では紫で着色)、Galaxy Evolution Explorer(GALEX、青)、ハッブル宇宙望遠鏡(黄)、そしてスピッツァー宇宙望遠鏡(赤)です。X線では爆発した星の周りにある数百万度のガス、中性子星、ブラックホール連星を観測することができ、より低エネルギーのデータからは星やダストの分布を観測し、M101の「腕」をたどることができます。
「風車(かざぐるま)銀河」としても知られるM101は、おおぐま座の方向、約2500万光年先にあります。歴史的にはメシエ・カタログでM101に続く「M102」も実はM101のことを指しているのではないか、その意味でM101は「1つではない」のではないかと言われていましたが、現代の技術で観測するM101の姿はそれとはまた別の意味で「1つではない」と言えるものになっています。
Image: NASA, ESA, CXC, JPL – Caltech, STScI
Source: NASA
文/北越康敬