11月24日、環境試験を受けるNASAの次世代有人宇宙船「オリオン」がオハイオ州に到着しました。陸路でも海路でもなく、特殊な飛行機を使った空路での輸送作業です。
■アポロ計画も支えた「スーパーグッピー」に乗せられてオハイオ入りオリオン宇宙船を運搬したのは、NASAが所有する輸送機「スーパーグッピー」です。スーパーグッピーは1940年代に開発されたボーイング社製の輸送機C-97をベースに開発された特殊な機体で、胴体の幅を大きく上回る貨物室が上部に設けられており、貨物を背負うようにして運搬します。
貨物室の内径はおよそ25フィート(7.62メートル)、容積は3万9000立方フィート(およそ1100立方メートル)。貨物の積み下ろしは機首部分全体を左に折り曲げて行います。スーパーグッピーはアポロ計画の頃から活躍しており、サターンV型ロケットの一部や帰還後のアポロ司令船、国際宇宙ステーション(ISS)の構成要素などを運搬してきました。
オリオン宇宙船を運んだスーパーグッピーは1980年に初飛行した機体で、もともとはエアバス社が所有していました。1997年にNASAへ移ってからは、以前に使われていた機体からスペアパーツを確保しつつ運用が続けられています。
なお、かつてスーパーグッピーを運用していたエアバスも、A300をベースにした同様のコンセプトを持つ輸送機「ベルーガ」を製造・運用しています。2007年にはISSの欧州実験棟「コロンバス」をベルーガが輸送しており、スーパーグッピーとともに宇宙開発の一端を担っています。
Image Credit: NASA
https://www.nasa.gov/feature/glenn/2019/orion-spacecraft-arrives-in-ohio-aboard-the-super-guppy
文/松村武宏