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期待の次世代宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」地上での試験進む

sorae.jp 2020年6月10日 21時3分

遠方銀河から太陽系外惑星までさまざまな研究分野から期待されているNASAの「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡は、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう体制の下でも少しずつ試験が続けられています。6月9日には、ジェイムズ・ウェッブの構造上の要となるタワー構造(DTA:Deployable Tower Assembly)の伸長試験に成功したことが発表されました。

■展開式の望遠鏡と本体をつなぐタワー構造の伸長試験を実施

試験中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡をチェックするエンジニアたち(Credit: Northrop Grumman)

今回試験が実施されたDTAは宇宙機としての本体(バス)と望遠鏡をつなぐ部分で、打ち上げられてから1.2m伸びる構造になっています。試験では数時間かけてDTAを伸ばした後に、エンジニアによって状態がチェックされました。試験に携わったAlphonso Stewart氏(ゴダード宇宙飛行センター、NASA)は「試験のあいだ、DTAは見事に機能しました」とコメントしています。

六角形の鏡が組み合わされた直径6.5mの主鏡をテニスコートサイズのサンシールド(日除け)で太陽から隠す構造のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、そのままでは打ち上げに使われるアリアン5ロケットに搭載することができないため、主鏡やサンシールドは畳んだ状態で打ち上げられます。打ち上げ時にDTAを縮めておくことで、サイズが大きなジェイムズ・ウェッブをロケットに搭載しやすくなるというメリットが生まれます。

アリアン5ロケットのフェアリングにおさめられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を描いた図。主鏡やサンシールドは畳まれた状態で打ち上げられる(Credit: ArianeSpace.com)

また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は赤外線の波長で天体を観測するため、望遠鏡はなるべく低温に保つ必要があります。打ち上げ後にDTAを伸ばすことで、赤外線として熱を放射する本体を望遠鏡から遠ざけられるというメリットもあります。

新型コロナウイルスへの対策としてスタッフの人数が制限されたものの、NASAやジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の製造を担当するノースロップ・グラマンは作業を継続してきました。現在は本来の体制に戻りつつあるものの、影響が払拭されたわけではなく、発表では2021年3月の打ち上げが予定されているスケジュールが見直される可能性にも言及しています。

望遠鏡とサンシールドを展開したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を描いた想像図(Credit: NASA)

 

Image Credit: Northrop Grumman
Source: NASA
文/松村武宏

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