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南天の天の川で輝く星々の彩り。りゅうこつ座の散開星団

sorae.jp 2020年8月5日 22時2分

散開星団「NGC 3532」(Credit: ESO/G. Beccari)

■今日の宇宙画像:散開星団「NGC 3532」

こちらは南天の「りゅうこつ座」の方向およそ1300光年先にある散開星団「NGC 3532」の画像です。一面に広がる天の川の星々を背景に、青、赤、オレンジと色とりどりに輝く星々が満月2個分ほどの範囲にゆるやかに集まっています。

南半球では肉眼で簡単に見つけることができるというNGC 3532は、海外では願いの井戸(※)の底に散らばった硬貨を連想させるとして「Wishing Well Cluster(願いの井戸星団)」と呼ばれたり、楕円形に見えるその形から「Football Cluster(フットボール星団)」と呼ばれたりすることもあります。

※…硬貨を投げ込むと願いごとがかなうと言われる井戸

恒星の色の違いは表面温度に由来しており、高温の星は青く、低温の星は赤く見えます。壮年期の恒星のなかでも質量が大きいものは寿命が短く、明るく青色で輝きますが、質量が小さくなるにつれて寿命は長く明るさは暗くなり、表面温度に応じて白色、黄色、オレンジ色、赤色で輝きます。

ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、NGC 3532の星々は形成されてからおよそ3億年が経っているといいます。青く輝いている星々は質量が比較的大きな恒星で、さらに質量が大きなものは赤色巨星の段階に入っており、もっと重かった星々はすでに超新星爆発を起こした後とみられています。およそ400個の星々から構成されるというNGC 3532には明るく目立つ青い星ばかりでなく、寿命が長い黄色や赤色の星も数多く存在しています。

ちなみに、NGC 3532は1990年5月に「ハッブル」宇宙望遠鏡による最初の観測(ファーストライト)が実施された星団でもあります。冒頭の画像はESOのラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡で撮影され、2014年11月26日に公開されたものです。

1990年5月にハッブル宇宙望遠鏡が撮影したNGC 3532の一部(右)と、チリのラスカンパナス天文台にある2.5mデュポン望遠鏡で撮影された同じ範囲(左)の比較(Credit: NASA, ESA, and STScI; Ground Image: E. Persson (Las Campanas Observatory, Chile)/Observatories of the Carnegie Institution of Washington)

 

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Image Credit: ESO/G. Beccari
Source: ESO / Hubblesite
文/松村武宏

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