こちらは「ケンタウルス座」の方向にある原始惑星状星雲「IRAS 13208-6020」の姿です。中心にある星をはさんで向かい合うように伸びている2つの吹き流しのようなガスの美しい双極性の構造が、明確に捉えられています。
超新星爆発を起こさない太陽のような比較的軽い恒星(質量が太陽の8倍以下)が晩年を迎えると、赤色巨星へと進化して周囲にガスを放出します。赤色巨星から白色矮星へと進化していく熱い中心星が放射する紫外線によってガスが電離して輝くようになった天体は、惑星状星雲と呼ばれています。
原始惑星状星雲は惑星状星雲になる前の段階の天体で、ガスはまだ電離していませんが、中心星の光によって照らし出されています。IRAS 13208-6020も、いつの日か「M2-9」や「Hen 2-437」のような惑星状星雲として観測されるようになるのでしょう。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」によって可視光線と赤外線の波長で観測されたもので、「今週の一枚」として2011年6月6日に公開されています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏