ビッグバンからおよそ138億年が経ったとされるこの宇宙では銀河どうしの衝突や合体もめずらしいことではなく、約40億年後には天の川銀河もアンドロメダ銀河(M31)と衝突し、やがて合体すると予想されています。
すれ違ったり衝突したりすることで互いに影響を及ぼし合っている銀河は「相互作用銀河(英:interacting galaxies)」と呼ばれていて、「ハッブル」宇宙望遠鏡などによっていろいろな姿の相互作用銀河が観測されています。
▲Credit: NASA, ESA, and F. Summers (STScI)▲
こちらの動画では、何億年もの時間をかけて変化していく相互作用銀河の形態を解析したコンピューターシミュレーションの結果が示されています。接近した2つの渦巻銀河は衝突により円盤状の姿を失ってフックのような形に大きく変形し、それぞれの銀河を構成する何百億、何千億もの星々が絡まり合いながら1つに集まりつつある様子が再現されています。
注目は、シミュレーション結果とともに本物の相互作用銀河の画像が挿入されているところです。衝突直前の段階で示される「UGC 9618(Arp 302)」に始まり、2つの銀河が食い込んでいるような段階の「Arp 148」や、相互作用によって大きく変形した「ESO 77-14」「VV 705」「ESO 148-2」といった銀河の画像が用いられています。
相互作用銀河のなかには「どうすればこのような形になるのだろう」と思わせるものもありますが、シミュレーションと実際の画像を比較することで、その相互作用銀河の形態や、衝突からどれくらいの時間が経った段階なのかがわかりやすくなっています。
冒頭の動画はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した59例の相互作用銀河の画像とともに、2008年4月24日に「Merging galaxies galore」のタイトルでESA(欧州宇宙機関)から公開されています。
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Image Credit: NASA, ESA, and F. Summers (STScI)
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏