こちらは「おとめ座」の方向およそ5000万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 4535」です。NGC 4535は地球から正面(真上もしくは真下)が見える位置関係にあり、画像には中央のバルジから棒状の構造を経てカーブしながら伸びていく渦巻腕が描き出した、見事なS字状の姿が捉えられています。
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宇宙望遠鏡はこのような銀河の美しい姿を私たちに見せてくれますが、小さな望遠鏡を通して実際に見たNGC 4535はかすんでいて、欧州宇宙機関(ESA)はどこか幽霊のようだとも表現しています。ESAによると、1950年代には著名なアマチュア天文学者のLeland S. Copeland氏によって、NGC 4535は「Lost Galaxy(失われし銀河)」と名付けられています。
星の色は表面温度や年齢と関係があり、銀河の色からはそこにどのような星が多いのかを知ることができます。NGC 4535の渦巻腕にみられる青みがかった色は若く高温の星が多いことを示しており、中央部分のバルジにみられる黄色っぽい色は反対に古く低温の星が多いことを意味しています。
また、NGC 4535は「おとめ座銀河団」に属する大きな銀河の一つでもあります。おとめ座銀河団には楕円銀河「M87」をはじめとした約2000個もの銀河が集まっていることが知られています。冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による光学および紫外線観測のデータをもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2021年1月18日付で公開されています。
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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, J. Lee and the PHANGS-HST Team
Source: ESA/Hubble / ESO
文/松村武宏