米スペースX社は現地時間1月20日、2021年初となる同社の通信衛星「スターリンク」60基の打ち上げを行いました。ケネディー宇宙センター39A発射台からファルコン9ロケットによって、所定の軌道に投入されました。発射から約65分後に衛星の分離を確認したということです。今回のミッションは同社にとって17回目のスターリンクミッションとなり、合計で1000基以上のスターリンク衛星を打ち上げたことになります。天文学者のJonathan McDowell氏によると、総計1051基のスターリンク衛星が打ち上げられ、現在951基が軌道上に存在するということです。
またファルコン9ロケットの打ち上げでお馴染みとなったロケットの第一段機体の帰還も成功しました。大西洋上で待機するドローン船「Just Read the Instructions」に着陸。今回使用された第一段機体は、これまでに7回使用され、今回8回目の着陸を無事終えました。この機体が初めて使用されたのは2019年3月に行われた同社の新型有人宇宙船「クルードラゴン」の無人飛行試験です。一方で最後に利用されたのは昨年(2020年)12月13日のSXM-7の打ち上げミッションで、前回の打ち上げから38日で再利用され、同一機体による打ち上げ期間の最短を記録しました。
同社が進める大規模インターネットサービスである「スターリンク計画」は、従来の通信環境があまり良くない地域にも通信サービスを普及させることができます。一方で、世界中の天文学者からは衛星の反射する太陽の光が天体観測の妨げになってしまうという懸念も表明されています。これに対して、SpaceX社でガーバメント・アフェアーズを担当するPatrica Cooper氏は、昨年スターリンク衛星の新しいバージョンである「VisorSat」を開発し、2020年8月以降に打ち上げられたスターリンク衛星はこのバージョンになっていると発言しています。Visorsatとは、太陽の光が衛星のアンテナや表面に反射するのを防ぐために日除板を装着したスターリンク衛星です。
なおスペースX社は明日もファルコン9ロケットの打ち上げを予定しています。
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Image Credit: SpaceX Twitter
Source: SpaceX、SpaceNews
文/出口隼詩