宇宙飛行士の長期滞在開始から2020年で20周年を迎えた国際宇宙ステーション(ISS)では、同年から民間宇宙企業の有人宇宙船(スペースXの「クルードラゴン」)による本格的な運用飛行が始まり、今年からは今後数年間の需要を見越してボーイング製の太陽電池パネル増設が予定されるなど、アメリカを中心とした新たな動きが活発化しつつあります。
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いっぽう、ロシアでも今年2021年にISSのロシア区画に結合される予定の多目的実験モジュール「ナウカ」の打ち上げ準備が進められています。ロシア語で「科学」を意味するナウカはISSで最初に打ち上げられた構成要素である基本機能モジュール「ザーリャ」の予備機をもとに開発されたモジュールで、科学実験用の小型エアロックや欧州で開発されたロボットアームが備えられており、モジュール内外での実験に対応しています。
また、ナウカにはISSの姿勢制御や酸素生成・水再生能力も備わっていて、稼働すれば滞在中の宇宙飛行士の安全性が高まるとともに、より多くの装置や物資を保管することも可能となります。なお、ロスコスモスではナウカにドッキングポートを増設するためのノードモジュールを結合させ、さらに多くのモジュールをロシア区画に追加することも計画しています。
ナウカは2021年中にロシアの「プロトン」ロケットを使って打ち上げられる予定で、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスによると1月19日の時点で打ち上げ前のチェックは80パーセントが完了しているとのことです。以下の動画にはナウカの機体や太陽電池パネルの準備・点検が進められている様子がまとめられています。
Image Credit: Yuzhny Space Center/ROSCOSMOS
Source: ROSCOSMOS
文/松村武宏