アメリカの火星探査車「Perseverance」(パーセべランス、パーサビィアランス )が火星への着陸に成功しました。いよいよ火星の痕跡を探すことを目標にするミッションが始動します。そこで今回は、Perseveranceについて知っておきたいことを7つのポイントを解説します。
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Perseveranceは「火星に微生物が存在した痕跡」を様々な科学装置で調査します。
例えば、ロボットアームの先に取り付けられた観測装置「SHERLOC」は、火星に存在した可能性のある生命の痕跡を探すために役立ちます。岩などに含有される鉱物や有機化合物を調べることが可能です。同じくロボットアームにある「PIXL」は岩や堆積物の科学的組成を測量します。
またPerseveranceは、離れた場所から科学データを測定できる機器を搭載。ズーム機能を持つカメラ「Mastcam-Z」やレーザーを使用し岩を砕いて、発生した蒸気から岩の組成を調べる「SuperCam」、地下の地理的特徴を調べる「RIMFAX」などの科学機器を使用し探査を行います。
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Perseveranceは、火星の北半球に位置している直径45kmの「ジェゼロ・クレーター」に着陸します。約35億年以上前に水が流入し湖だったと考えられており、一部には三角州も形成されました。当時のジェゼロ・クレーターは、生命が生息できる環境だった可能性もあり、堆積物からは生命の痕跡が見つかるかもしれないという期待があります。
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これまで行われてきた研究や探査によると、火星は遠い昔、地球と非常に似ている惑星であったことが指摘されています。どちらの惑星にも表面には液体の水が存在するなど共通の特徴を持っていました。
しかし現在では火星と地球は全く異なった惑星です。そのため、火星の地理や気候を研究することは「形成初期に似ていた地球と火星がなぜ変化したのか」という謎を解く手がかりになります。
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4 困難を乗り越える精神を体現する「Perseverance」Perseveranceの打ち上げや運用は、世界中でコロナウイルスが猛威を振るう中、行われました。探査車の名前である「Perseverance」は日本語で「忍耐」を意味しますが、世界中の医療従事者の「忍耐」に敬意を示すものとして1枚のプレートが探査車に取り付けられました。そのプレートにはアスクレピオス(ヘビが巻きついた杖)が描かれています。アスクレピオスは、世界保健機関(WHO)のマークにも採用され、医療のシンボルとして広く知られています。
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Perseveranceが行う重要な探査の1つに、人類初となる火星のサンプルリターン計画があり、この計画は、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)と共同で実施します。まず、Perseveranceが火星の土壌を掘り、サンプルを採取し、チューブ型をした保存容器に詰め込みます。容器は火星表面に落とされ、2026年頃打ち上げられるESAの探査車が回収を行います。その後小型ロケットにセットされ、火星軌道上の探査機に回収され、地球へ帰還する非常に難易度の高いミッションです。スケジュール通りに進めば、2031年ごろ火星のサンプルを手に入れることができます。
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6 将来の月・火星探査に向けた準備を行うPerseveranceのミッションの1つは、将来の有人・無人火星探査を行う準備や技術実証を行うことです。例えば、「Terrain-Relative Navigation」(TRN)は着陸時に下降しながら、地表面を測定します。その結果と火星表面の地図を比較しながら着陸に安全な場所を自動で選ぶ仕組みが備わっています。
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また、探査車内部に設置された「MOXIE」は二酸化炭素を酸素に変換する実験機器です。火星大気の組成は二酸化炭素が多いですが、酸素に変換することでロケット燃料の一部として使用できると見込まれています。
さらに、Perseveranceは火星ヘリコプター「インジェニュイティ」も搭載しています。インジェニュイティは人類史上初めて大気圏外で動力飛行を行います。科学機器は搭載されていないものの、カメラを使用した撮影をする予定です。5月初旬に初飛行を行う予定です。
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2019年5月から9月にかけて全世界で募集された「あなたの名前を火星に」キャンペーンでは、約1000万人以上の名前が集められ、シリコンチップに刻まれました。
チップを載せたプレートは、探査車のマストから見える部分に取り付けられています。さらに、応募した人は名字と登録したメールアドレスを専用サイトに入力すると、自分の名前が記入された「火星行きのチケット」を手に入れることができます。自分の名前を搭載した探査車がこれから数多くの発見をするかもしれないと思うと感慨深いものがありますね。
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Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: Mars2020 Perseverance Landing Press kit P3~6 Introduction
文/出口隼詩