流星はカラフルに見えることがあります。流星が放つ多くの色を人間の目で見分けることは通常難しいですが、カメラを用いれば識別することができます。
冒頭の画像は1月初めに極大を迎えた「しぶんぎ座流星群」の流星で、アメリカのミズーリ州で撮影されました。「しぶんぎ座流星群」は小惑星2003 EH1が放出したダスト(塵)に由来すると考えられています。
流星は大気圏に高速で突入した際、流星を構成する物質や大気がプラズマ化(「気化」や「イオン化」とも言われます)して発光します。そのとき、どのような色で発光するかは元素によって異なります。一般的にマグネシウムは青緑色、カルシウムは紫色、ニッケルは緑色の光を放射します。しかし、赤は一般的に地球の大気中に存在する窒素と酸素に由来しています。
この明るい流星の火球は、あっという間に消えてしまいましたが、流星の痕跡(流星痕)が残され、数分間風に流され漂い続けていました。
カラフルな流星は銀河と共演して見事な「絶景」を生みだすことがあります。以下の画像では流星がさんかく座にあるM33銀河のすぐそばをニアミスで通過しているかのようです。
流星の元になっている塵は砂粒ほどの大きさですが、銀河は比較にならないくらい巨大であることは言うまでもありません。そして、流星までの距離は約0.0003光秒(約90㎞)にすぎませんが、M33は300万光年の彼方にあります。
最後の画像では緑色の流星が250万光年彼方のアンドロメダ銀河(M31)の前を横切っています。小さな流星は、この10度の視野(画面)を通過するのにわずか数秒しかかかりませんでした。
流星は瞬間的な物理現象ですが、銀河は何十億年もの時空を超えて存在しています。まさしく時空を超えたコラボレーションというべきかもしれません。
Image Credit: Frank Kuszaj、Aman Chokshi、Fritz Helmut Hemmerich
Source: APOD (1) (2) (3)
文/吉田哲郎