日本時間2月21日深夜、アメリカの宇宙ステーション補給機「シグナス」が打ち上げられました。シグナス補給船は、国際宇宙ステーション(ISS)へ実験器具や生活物資を運ぶことを目的としています。今回の打ち上げでは、国際宇宙ステーションから放出される超小型衛星も搭載されました。その中には、日本の大学や有志の宇宙開発団体、ベンチャー企業が開発・製作を行った衛星が含まれています。
1 リーマンサット・プロジェクト「RSP-01」リーマンサット・プロジェクトは会社員や学生など民間有志による趣味の宇宙開発団体で、主に超小型衛星の開発などを行っています。今回宇宙へ旅立った「RSP-01」は衛星にあるアームを展開し、先端のカメラで衛星本体と地球を一緒に撮影する、いわば「自撮り」衛星です。また、撮影した画像の中からベストな画像を自動で選び出し、地球へ届ける取り組みも行う予定です。
株式会社ワープスペースは、茨城県つくば市に本社を構える筑波大学発の宇宙ベンチャー企業。低軌道に位置する人工衛星向けに衛星間の光通信網の構築を目指しています。2022年に最初の中継衛星の打ち上げを行い、2023年に追加で2機の中継衛星を打ち上げます。その後、正式なサービスをスタートするということです。NASAによると、主な目的は新しい衛星のバス機器の実証実験ということです。
「BIRDS-4」は九州工業大学が中心となり、パラグアイとフィリピンの3国で共同開発した3基の超小型衛星です。3基のコンステレーションを構成します。民間の既製品を使用して製造されています。それぞれの衛星には名前がついており、九州工業大の衛星は「TSURU」、フィリピンの衛星は「MAYA-2」、パラグアイの衛星は「GUARANISAT-1」です。なお、パラグアイは初の人工衛星となりました。
4 大阪府立大学と室蘭工業大学が共同開発「ひろがり」超小型衛星「ひろがり」は、大阪府立大学と室蘭工業大学が共同で開発を行いました。新たに開発した展開構造物とアマチュア無線帯での高速通信技術の実証実験を宇宙空間で行います。なお、世界で初めて厚みのある板で「ミウラオリ」の技術を使用して展開を行う予定です。
5 静岡大学「STARS-EC」超小型衛星「STARS-EC」は静岡大学が開発を担当。愛称は一般公募により行われ「三光(さんこう)」と名付けられました。この衛星は、一辺10cmの3基の超小型衛星が直列に並びます。地球周回軌道で両端の衛星からテザーを伸ばし、約22mのエレベーターを構築。真ん中に位置する衛星がテザー上を移動することで、エレベーターの昇降実験を行います。この技術は、宇宙エレベーター、宇宙デブリ除去の技術につながるということです。
Image Credit: NASA Space Station Research Explorer、静岡大学
Source: リーマンサット・プロジェクト ホームページ、株式会社ワープスペース ホームページ、
室蘭工科大学 プレスリリース、静岡大学 ホームページ、 NASA Space Station Research Explorer
文/出口隼詩