デンマークにあるコペンハーゲン大学のアンダース・ヨハンセン教授率いる研究チームは2月18日、新しい惑星形成理論に基づいたコンピューターモデルを使ってシミュレーションをおこなった結果、地球、金星、火星などのような地球型惑星(岩石惑星ともいう)においては、広く液体の水が存在する可能性があることが解ったと発表しました。研究チームによれば、この研究成果は、天の川銀河で形成される地球型惑星一般にあてはまり、天の川銀河において地球のように液体の水を持つ惑星は”けして珍しいものではない可能性”があるといいます。
これまでの惑星形成理論では、原始太陽系円盤に含まれる岩石や金属のチリが衝突・合体を繰り返して、数キロメートルサイズの微惑星になり、この微惑星が衝突・合体を繰り返して、原始惑星になり、さらにこの原始惑星が合体・衝突を繰り返して、地球型惑星が形成されると考えられてきました。
しかし、研究チームによれば、地球型惑星は、原始太陽系円盤でつくられる氷(水の氷)や炭素を豊富に含むミリメートルサイズの小石(pebble)が集積して、形成されるといいます(小石降着モデル=pebble accretion model)。
まず、現在の地球の質量の1%ほどまで、小石が大量に集積します。すると引力が増すために、その後は、爆発的に小石の集積が進み、それから500万年ほどで、現在の地球の質量ほどにまで成長します。
しかし、その過程で地表の温度は急激に上昇します。すると、その後は、宇宙から降ってくる小石に含まれている氷は、地表に到達するまでに蒸発して失われてしまいます。
そのため、現在、地球の約7割は海に覆われていますが、実は地球全体でみると水の比率は1%ほどしかないのだといいます。
ところで、このような小石は、天の川銀河に存在する全ての若い恒星の周りに存在しています。もし、地球と変わらない材料から、地球と同じようにして他の恒星系の惑星も形成されるとしたら、それらの系外惑星も、地球と同じように液体の水と炭素(生命の材料になる)を持っている可能性があることになります。さらに、この場合には、研究チームによれば、海と大陸の比率まで地球と似ている可能性があるといいます。
現に太古の金星や火星には海と呼んでもかまわないほどの大量の液体の水が存在していたと考えられています。
もし、主星(恒星)との距離が適切ならば、この天の川銀河には、地球のように、広大な海を持ち、生命が溢れる系外惑星がたくさんあるのかもしれませんね。
Image Credit: NASA/NOAA/GOESプロジェクト
Source:コペンハーゲン大学のプレスリリース/論文
文/飯銅重幸