こちらは「みずがめ座」の方向およそ2億2000万光年先にある相互作用銀河「NGC 7252」の中央付近を捉えた画像です。明るい中心部分を取り巻く暗いダストレーンの外側に、幾重もの淡いシェル構造が写し出されています。
相互作用銀河とは、すれ違ったり衝突したりすることで互いに影響を及ぼし合っている複数の銀河のこと。欧州宇宙機関(ESA)によると、NGC 7252の場合は現在観測されている姿から約10億年前に2つの銀河が衝突して引き裂かれ、このとき飛び出した星々や塵によって外側のシェル構造が形成されたとみられています。
シェル構造の内側にある渦巻く構造は小さな渦巻銀河のようにも見えますが、その直径は私たちが住む天の川銀河の10分の1に相当する1万光年ほど。この構造も衝突の影響によるもので、NGC 7252における合体のプロセスが完了するであろう数十億年後には消えていると考えられています。
天の川銀河も30億から40億年後にはアンドロメダ銀河(M31)との衝突が始まると予想されているため、NGC 7252は相互作用銀河となった未来の天の川銀河およびアンドロメダ銀河の姿を予見させるものと言えるかもしれません。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による光学および赤外線の観測データをもとに作成されたもので、ESAからハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2015年12月7日付で公開されています。
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Image Credit: NASA, ESA / Acknowledgements: Judy Schmidt
Source: ESA/Hubble / ESO
文/松村武宏