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グリーンのコマから三色の尾を引くネオワイズ彗星の希有な姿

sorae.jp 2021年3月18日 11時6分

グリーンのコマから三色の尾を引くネオワイズ彗星(Credit: Nicolas Lefaudeux)

ネオワイズ彗星(C/2020 F3)は昨年(2020年)夏、世界中の人々に注目されましたが、2021年3月8日付けのAstronomy Picture of the Day(APOD)では赤い尾を引くネオワイズ彗星の珍しい姿が紹介されています。

通常、彗星は本体(核)から放出されたガスと塵(ダスト)によって青色のイオンの尾(イオンテイル)と白色の塵の尾(ダストテイル)を形成します。しかし、この画像にはさらに赤色の尾が写っています。赤い尾はとても珍しく、分析の結果ナトリウムによるものとわかりました。、7月上旬の明るい太陽の光で温められたネオワイズ彗星の核から、ナトリウムを多く含んだガスが放出され、紫外線で帯電した後、太陽風によって押し出されたものと考えられます。

グリーンのコマから三色の尾を引くネオワイズ彗星(説明画像)

説明画像を見るとわかるように、画面の下方向に太陽があり、太陽風は下から上へと吹いています。彗星自体は画面の左側へと移動していきます。

いずれの尾も太陽風に流されて太陽とは反対の方向へ長く伸びています。ダストテイルは塵のサイズにより太陽光から受ける圧力(光圧)が異なるため、幅が広がり、縞模様のように見えます。縞模様の成因は完全には解明されていません。大きな塵は彗星の軌道に沿って舞い続け、流星群の元となります。

彗星の核は太陽の熱によって蒸発したガスや塵の中に隠れています。核を球状に覆って輝いている部分はコマと呼ばれていて、この画像では緑色(グリーン)に輝いています。この緑色は二原子炭素(炭素の二原子分子)からの放射に由来しています。

画像は7月中旬にフランスのブルターニュ地方で撮影されたもので、リアルな色が出ています。ナトリウムによる尾はこれまでにも見られましたが、珍しいものであり、7月下旬には消えてしまいました。

昨年7月22日付けのAPODでは、見事な青色の尾を引くネオワイズ彗星の画像が紹介されています。冒頭の画像と比較して見てみると、赤色の尾の珍しさがよくわかります。

2020年7月、中国内モンゴル自治区のゴビ砂漠で撮影されたネオワイズ彗星(Credit: Zixuan Lin (Beijing Normal U.))

ネオワイズ彗星はその後、明るい尾を失って色あせ、現在は木星の軌道に接近し、太陽系の外縁部へと向かっています。次に戻って来るのは約7,000年後になります。

 

Image Credit: Nicolas Lefaudeux、Zixuan Lin (Beijing Normal U.)
Source: APOD (1) (2)
文/吉田哲郎

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