現地時間3月11日、中国は長征7号Aロケット2号機の打ち上げに成功しました。試験衛星「試験9号」をのせたロケットは、文昌衛星発射センターから打ち上げられました。中国のロケット打ち上げを担うCASC(中国航天科技集団有限公司)によると、発射から40分後、所定の軌道への投入を確認したということです。長征7号Aロケットは2回目の打ち上げで、2020年3月に1回目の発射が実施されましたが、失敗。そのため今回が初めての打ち上げ成功となりました。
長征7号Aロケットは全長60m、直径3.35mの大きさで、4本の固体ロケットブースターを装着。静止トランスファー軌道(GTO)に7tのペイロードを打ち上げる能力を持ちます。これにより中国でこれまで使用されてきた長征3Bロケットの5.5tを上回る能力を持つことが可能です。将来的には月や深宇宙探査に用いられると見られています。
また推進剤としてケロシンと液体酸素を使用しており、環境に対して害を与えない組み合わせとなっています。中国で従来使用されている長征2, 3, 4号ロケットでは四酸化窒素と非対称ジメルヒドラジンが使われています。これらの物質は有害で、環境への影響が懸念。しかし、近年中国で開発された長征5, 6, 7, 8号ロケットは、ケロシンと液体酸素、液体水素といった環境に害を与えない燃料の組み合わせを使用するようになりました。
現在中国は宇宙開発に力を入れており、今後さらにそのスピードが加速していくと思われます。今年前半には中国独自の宇宙ステーション建設がスタートする予定です。すでに宇宙ステーションの中心となるモジュール(機体)は完成しており、あとは打ち上げを待つのみとなっています。(※)
さらに有人宇宙開発だけでなく、月や火星探査にも力を入れています。昨年12月に打ち上げられた月探査機「嫦娥5号」が地球へ持ち帰った月のサンプル展示がスタート。また中国の宇宙機関であるCNSA(中国国家航天局)とロシアの宇宙開発を担当するロスコスモスは、月面もしくは月軌道上に「国際月研究ステーション(ILRS)」を建設する計画に合意しました。
今後も中国の有人宇宙計画のみならず月探査計画にも注目です。
Image Credit: CASC
Source:CASC、Space News
※CAST
文/出口隼詩