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1年が地球の2日半という短さのスーパーアース、36光年先に見つかる

sorae.jp 2021年4月19日 20時56分

【▲ 赤色矮星「グリーゼ740」(奥)を公転する系外惑星「グリーゼ740 b」(手前)を描いた想像図(Credit: Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC))】

カナリア天体物理学研究所(IAC)のBorja Toledo Padrón氏らの研究グループは、およそ36光年先にある恒星「グリーゼ740」(GJ 740)を周回する系外惑星「グリーゼ740 b」を発見したとする研究成果を発表しました。

グリーゼ740は直径と質量がどちらも太陽の半分ほどの赤色矮星(表面温度は摂氏約3600度)で、「へび座」の方向にあります。その周囲を公転する系外惑星グリーゼ740 bは、最小質量が地球の約3倍のスーパーアース(大型の地球型惑星)とみられています。

地球型の岩石惑星はその環境も気になるところですが、研究グループによるとグリーゼ740 bは主星であるグリーゼ740から約0.029天文単位(地球から太陽までの距離の約3パーセント)しか離れておらず、公転周期(つまりグリーゼ740 bにとっての「1年」)は約2.4日という短さ。主星に近いため、グリーゼ740 b表面の平衡温度は摂氏約550度と算出されています。

■詳しい性質を知るために期待される将来の追加観測

これまでに見つかった4300個以上の系外惑星の多くは、「視線速度法」や「トランジット法」といった間接的な手法を用いて検出されてきました。視線速度法とは、系外惑星の公転にともなって円を描くようにわずかに揺さぶられる主星の動きのうち、地球から見た視線方向の動きを主星の色のわずかな変化をもとに捉えて、系外惑星を検出する手法。もう一つのトランジット法とは、系外惑星が主星(恒星)の手前を横切る「トランジット(transit)」を起こした際に生じる主星の明るさのわずかな変化をもとに、系外惑星を検出する手法です。

今回研究グループが利用したのは地上の望遠鏡に設置された観測装置(ヨーロッパ南天天文台の「HARPS」、イタリア国立天体物理学研究所の「HARPS-N」、カラー・アルト天文台の「CARMENES」)によって取得された視線速度法による観測データでしたが、この方法では系外惑星の公転周期や最小質量を導き出すことはできるものの、直径を知ることができません。

グリーゼ740 bの直径は地球の約1.4倍と推定されていますが、より正確な値を調べるにはトランジット法による追加観測が必要です。研究グループではアメリカ航空宇宙局(NASA)の系外惑星探査衛星「TESS」や欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ケオプス(CHEOPS)」による観測に期待を寄せています。

また、今回検出されたグリーゼ740 bとは別に、公転周期が約9年で土星ほど(地球の約100倍)の質量を持つ、別の系外惑星が存在する可能性があるといいます。研究グループは、太陽系から比較的近いところにあるグリーゼ740の系外惑星について、近い将来に登場する予定の「欧州超大型望遠鏡(ELT)」や「30メートル望遠鏡(TMT)」といった、口径30~40m級の大型望遠鏡による観測対象になる可能性に言及しています。

 

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Image Credit: Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC)
Source: IAC
文/松村武宏

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