最近、ISSの宇宙飛行士たちは、第64次長期滞在クルーでNASAのSpaceX Crew -1ミッション司令官を務めた宇宙飛行士マイケル・ホプキンス(Michael Hopkins)さんの努力のおかげで、新鮮な葉物野菜が供給され、その味を楽しみました。
彼は、4つの野菜生産システム実験(「Veggie」)を主導し、最後の2つの実験(「VEG-03K」と「VEG-03L」)は2021年4月13日の収穫後に終了しました。VEG-03KとVEG-03Lでテストされたのは、新しい宇宙作物“アマラ”マスタード(‘Amara’ mustard)と、以前に栽培された作物“エクストラドワーフ”チンゲンサイ(‘Extra Dwarf’ pak choi)です。栽培期間は64日間で、葉物野菜の栽培期間としてはISSで最長となりました。
実験植物は、将来の月や火星へのミッションで宇宙飛行士の生活を維持する方法として、宇宙農業の研究用に栽培されたものです。
チンゲンサイは長く栽培されたため、繁殖サイクルの一環として花が咲きました。ホプキンスさんは、小さな絵筆を使って植物の花を受粉させるなどの努力もしました。
直近の実験では複数回収穫できたので、彼が育てた野菜の収穫量は最大となり、クルーはその野菜を使って食事のバリエーションを増やすことができました。
ホプキンスさんはトルティーヤ(tortilla)の空のパッケージにチンゲンサイの葉を漬け込んで食べました。醤油とニンニクを加え、小型のフードウォーマーに20~30分入れておきました。彼によると、宇宙飛行士たちは、“アマラ”マスタードを「レタスラップ(lettuce wrap)のように」楽しんで食べ、鶏肉、醤油、バルサミコ酢などの具材や調味料も加えたそうです。
さらにホプキンスさんは、宇宙で育った“アマラ”マスタードを試食して、実験ノートに「おいしい、それに食感というか歯ごたえがある」と書きました。まるで「スペースサラダ」の食レポようですね。
こちらの動画はトルティーヤを使ったISSでのクッキングの様子です。2015年に公開された動画で、映っているのはESAの宇宙飛行士Samantha Cristoforettiさんです。
宇宙飛行士たちが食べているのは、バラエティに富んだ栄養価の高いパッケージ食品ですが、新鮮な作物はそれに加えて魅力的なものです。ホプキンスさんはまた、植物は「地球とのつながり」として非常にありがたいものだと語り、そのつながりが、プライベートな時間を使って「宇宙の園芸家」(space gardener)をしている理由のひとつでもあると述べています。
Image Credit:NASA
Video Credit:ESA
Source: NASA、ESA
文/吉田哲郎