中国国家航天局(CNSA)は6月7日、火星探査機「天問1号」の周回機が火星の周回軌道上から撮影した火星探査車「祝融(しゅくゆう)」の着陸地点周辺の画像を公開しました。
こちらが今回公開された画像です(日本語表記は筆者が追記、元の画像はこちら)。右の画像は日本時間6月2日19時に、左の画像は祝融の着陸以前に撮影されたもので、どちらも火星の北半球にあるユートピア平原の同じ地域を捉えたものとなります。
CNSAによると、右画像の右上には祝融と着陸機が近接した白い点として写っており、着陸機周辺の地表が暗く変色している他に、画像の上下に向かって明るいくさび形の模様が見えています。着陸機周辺の暗い色はロケットエンジンのプルーム(エンジンから噴射された燃焼ガス)による影響が、明るい模様は着陸後に残った推進剤を排出した際に細かな塵が吹き飛ばされたことで形成された可能性が考えられるといいます。
また、祝融および着陸機から300mほど離れたところには降下中に投棄されたバックカバーとパラシュートが、1.5kmほど離れたところには同じく降下中に投棄された耐熱シールドが写っています。これらの物体や地表の変色は、いずれも着陸前に撮影された左の画像には写っていないことがわかります。
いっぽう、6月10日には、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」の高解像度撮像装置「HiRISE(The High-Resolution Imaging Science Experiment)」によって6月6日に取得された、祝融の着陸地点付近の画像が公開されました。HiRISEを開発・運用するアリゾナ大学によると、CNSAから公開された画像と同様に暗い色のブラストパターンや明るいくさび形の模様をHiRISEは捉えており、着陸機からやや離れた位置に移動した祝融や、バックカバーおよびパラシュートとみられる物体も確認できます。
天問1号は周回機、着陸機、探査車(祝融)から構成される探査機です。2020年7月23日に打ち上げられた天問1号は、2021年2月10日に火星の周回軌道へと入りました。祝融を載せた着陸機は2021年5月15日にユートピア平原へ着陸し、5月22日には祝融が着陸機から火星の地表へと降りることに成功しています。
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CNSAによると、祝融は搭載されているすべての観測装置を使った探査活動を進めており、火星の地表で過ごした期間は6月6日の時点で23ソル(1ソル=火星の1太陽日、約24時間40分)となりました。地球と祝融の通信は、火星を8.2時間ごとに1周する軌道上で探査活動を行っている天問1号の周回機によって中継されています。祝融の活動期間は少なくとも90ソル(地球では約3か月間)、天問1号のミッションは火星での1年(地球では約687日)が予定されています。
Image Credit: CNSA
Source: CNSA / Xinhua
文/松村武宏