太陽系で一番遠くにある惑星「海王星」に行った探査機は3つのうちどれ?
1. ボイジャー1号 2. ボイジャー2号 3. ニューホライズンズ
ボイジャー1号2号とニューホライズンズの解説ボイジャー1号とボイジャー2号は、1977年にアメリカ航空宇宙局(NASA)によって打ち上げられた宇宙探査機です。地球より外側にある惑星を接近観測した後も探査を続けており、今年(2021年)の夏で打ち上げから44年が経ちますが、今でも現役で地球と通信を行っているニュースが度々報道されています。
ボイジャー1号2号にはそれぞれ、地球外知的生命体に向けたメッセージを収めたゴールデンレコードが搭載されました。レコードには115枚の画像と、波や雷などの自然音、鳥、クジラなど動物の鳴き声、55種類の言語で話された挨拶などがおさめられています。
ボイジャー1号2号は共に木星と土星を探査しました。その後ボイジャー1号はまっすぐ太陽系の外を目指しましたが、ボイジャー2号は土星の外側にある天王星と海王星の探査に向かいました。2機の探査によって、新しい衛星や木星の環が見つかったり、木星の衛星イオに火山があることや、海王星の衛星トリトンに大気があることもわかりました。
太陽からは太陽風と呼ばれる電離した粒子が常に吹き出しています。この太陽風が届く範囲を太陽圏と言いますが、その太陽圏と星間空間の境目にあたる「ヘリオポーズ」を、ボイジャー1号は2012年8月25日に通過しました。その6年後の2018年11月5日にはボイジャー2号もヘリオポーズを通過して太陽圏を脱出し、星間空間へと入っています。
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2021年6月現在の探査機の位置は、ボイジャー1号が153天文単位(AU)、ボイジャー2号が127天文単位くらいのところになります(いずれも太陽からの距離)。天文単位は天文学で用いられる距離の単位で、1天文単位=約1億5000万㎞です。
ボイジャーに搭載されている「放射性同位体熱電気転換器」(RTG、原子力電池とも。放射性元素が崩壊するときの熱から電気を得る装置)の発電量は年々低下しており、2025年頃にはすべての観測装置が使えなくなる見込みです。将来、通信が途絶えても、ボイジャーは慣性の法則に従って星間空間の旅を続けることとなります。
ニューホライズンズは2006年にNASAによって打ち上げられた宇宙探査機です。2015年7月に史上初めて冥王星と衛星カロンの接近観測を行い、2019年1月には太陽系外縁天体「アロコス」(以前はウルティマトーレの愛称でした)の観測を実施しています。
また、2021年4月17日には、ニューホライズンズが太陽から50天文単位(約75億km)離れた地点を通過したとNASAから発表がありました。
現在、ニューホライズンズの運用チームは、次に探査する太陽系外縁天体を捜索しています。探査機の原子力電池は2030年代後半まで持つ予定で、今も星間空間に向かって航行しています。
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【答え】海王星に接近したのは…正解は「2.ボイジャー2号」でした。2021年の時点で、ボイジャー2号は天王星と海王星に接近した唯一の探査機となります。
なお、これまでに太陽から50天文単位離れた場所を通過した探査機は「パイオニア10号」「パイオニア11号」「ボイジャー1号」「ボイジャー2号」「ニュー・ホライズンズ」の5機です。
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Image Credit: NASA/JHUAPL/SwRI/JPL-Caltech
文/sorae編集部