毎年8月13日頃に極大を迎える「ペルセウス座流星群」でもおなじみ「ペルセウス座」の一角を捉えたこちらの画像には、いくつかの銀河が写っています。よく目立つ2つの銀河のうち、右下に見える「UGC 2665」は渦巻銀河に分類されている銀河で、青い星々の輝きが連なる渦巻腕と、その腕に絡み合うように分布する塵が豊富なダストレーン(ダークレーン)がよく見えています。
いっぽう、画像の左上にあるのは「2MASX J03193743+4137580」というレンズ状銀河です。レンズ状銀河は渦巻銀河と楕円銀河の中間にあたる形態の銀河で、渦巻銀河と同じように扁平な姿をしているものの、楕円銀河と同じように目立った構造はみられません。
異なる形態に分類されている2つの銀河には共通点もあります。UGC 2665と2MASX J03193743+4137580は、どちらも地球からおよそ3億5000万光年離れたところにあり、「ペルセウス座銀河団」に属しています。ペルセウス座銀河団には200個近い銀河が集まっていて、その中心には「NGC 1275」と呼ばれるセイファート銀河(活動銀河の一種)が存在しています。
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冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線と近赤外線の観測データをもとに作成されたもので、欧州宇宙機関(ESA)からハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「One of the Greats」として2021年7月5日付で公開されています。2つの銀河のあいだには暗く平穏な空間が広がっているように見えますが、X線の波長で観測すると銀河団内部に存在する高温ガスの分布が見えてきます。ESAはその姿を、まるで明るく強い光を放ちながら燃え上がっているようだと表現しています。
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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, W. Harris, Acknowledgement: L. Shatz
Source: ESA/Hubble / チャンドラX線センター
文/松村武宏