こちらは「しし座」の方向およそ3500万光年先にある渦巻銀河「M96(Messier 96)」です。1781年にフランスの天文学者ピエール・メシャンによって発見されたこの銀河は、そのわずか4日後には同国の天文学者シャルル・メシエがまとめた「メシエカタログ」に登録されました。
欧州宇宙機関(ESA)によると、M96のサイズは私たちが住む天の川銀河(銀河円盤の直径約10万光年)とほぼ同じ。中心部分の明るく輝くバルジを取り巻く渦巻腕のあちこちでは盛んな星形成活動が起きており、若い星々が放射する紫外線によって電離した水素が放つ光で輝くHII領域が、画像にはピンク色の領域として幾つも捉えられています。
また、M96は非常に非対称な銀河とされており、渦巻腕全体に広がるガスや塵の分布は不均一で、中心核の位置も銀河の中心に対してずれているといいます。渦巻腕そのものも非対称に伸びていて、過去に同じ銀河群(M96銀河群)に属する別の銀河と相互作用を経験したと考えられています。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」および「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による光学・近赤外線・紫外線の観測データをもとに作成されたもので、ESAから2018年5月17日付で公開されています。
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Image Credit: NASA, ESA, and the LEGUS team
Source: ESA/Hubble (1), (2) / ESO
文/松村武宏