こちらは火星の北半球にあるルナエ高原(Lunae Planum)の一部を周回軌道上から撮影した画像(疑似カラー)です。直径1km~4.5km程度の大小3つのクレーターがまるで一列に並ぶように形成されていて、その周りにも小さなクレーターが点在しているのがわかります。
欧州宇宙機関(ESA)によると、タルシス三山とも呼ばれる3つの火山(アスクレウス山、パヴォニス山、アルシア山)の東に位置するルナエ高原は、タルシス三山から流れてきたとみられる溶岩に覆われています。3つのクレーターのうち一番大きなものについては縁の内側に層が見えるといい、この地域に何度も溶岩流が流れてきたことを意味する可能性があるようです。
画像は欧州およびロシア共同の火星探査ミッション「エクソマーズ」の周回探査機「トレース・ガス・オービター(TGO)」に搭載されている光学観測装置「CaSSIS」を使って2021年3月22日に撮影されたもので、ESAから「Crater trio」のタイトルで公開されています。
なお、ESAとロスコスモスではエクソマーズミッション2度目の探査機打ち上げを2022年に計画しており、定点観測を担う地表プラットフォーム「カザチョク」と探査車「ロザリンド・フランクリン」が2023年に火星へ着陸する予定です。
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Image Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS
Source: ESA
文/松村武宏