空(大気圏)と宇宙(宇宙空間)の境界はどこなのでしょうか?
現在は国際航空連盟によって、大気がほとんど無くなる高度100㎞から先を宇宙と定義していて、一般的にもその定義が用いられています。なお、米国空軍は高度80kmから先を宇宙と定義しています。
その高度100㎞に引かれた境界線は「カーマン・ライン」(カルマンライン、Karman line)と呼ばれることがあります。流体の中に障害物を置いたとき、その後方にできる「カルマン渦」で知られている航空工学者セオドア・フォン・カルマン(Theodore von Kármán、1881-1963)に由来しています。
しかし、大気圏の終わりと宇宙空間の始まりを示す明確な物理的境界はありません。実際、カルマンラインは中間圏上部と熱圏下部の移行部に位置しています。
中間圏の最上部に近い高度80km付近で形成されるのが夜光雲です。夜光雲は南北半球の高緯度地域で夏に発生し「極中間圏雲」とも呼ばれています。
また、高エネルギー粒子が熱圏の原子を励起することで発生するオーロラは、高度80kmから600km以上にも及ぶことがあります。
冒頭の画像は、成層圏内の高度10kmを飛行中の航空機のコックピットから星空の下、地球の地平線と宇宙の果てに向けて、夜光雲とオーロラを撮影したものです。
こちらは、その動画バージョンです。
また、流星は高度100km前後、つまり空と宇宙の境界付近で発光すると言われています。そのため、私たちはふつう流星群を地上から見上げて観測しています。
こちらの画像は2011年8月13日にISSから撮影されたペルセウス座流星群で、上から見下ろすような形で捉えられています。この時、ISSの高度は約380kmでした。なお、流星のすぐ上、大気光を通して輝いている明るい星はアークトゥルスです。
今後、ISS並みの高度での宇宙旅行が一般化すれば、流星群を見下ろす光景も楽しめるようになるかもしれません。
Video Credit: Ralf Rohner
Image Credit: Ralf Rohner、P-M Hedén (Clear Skies, TWAN)、ISS Expedition 28 Crew, Ron Garan
Source: APOD (1) (2) (3)、ファン!ファン!JAXA!
文/吉田哲郎