オーストラリアのカーティン大学は9月14日、カーティン大学の地球惑星科学部と宇宙科学技術センターに属するカタリナ・ミリコビッチ准教授率いる研究チームが、形成されたばかりの初期の月はこれまでに考えられていたよりも多くの小惑星や彗星などに襲われていた可能性があることを突き止めたと発表しました。
月は、原始的な地球に火星サイズの原始惑星が衝突し、飛び散った物質が集って誕生したと考えられています。そのため誕生したばかりの月はとても高温でマグマの海に覆われていました。このマグマの海をマグマオーシャンといいます。この後、このマグマオーシャンは数百万年以上をかけてゆっくりと冷えていきました。今から40億年以上も前のお話です。
で、この時期に形成されたクレーターは、月の表面が完全には固まっておらず、まだ柔らかかったために、月の表面が完全に固まって硬くなってから形成されたその後のクレーターとは異なった外見をしています。とても大きく、いわゆる衝撃盆地にあたるのですが、痕跡が非常に薄いのです。そのため、周回軌道からの観測などのように離れたところからの観測(remote sensing=リモート・センシング)では、これを検知することがとても難しくなります。
ところで、小惑星などが衝突したことが解るのは、その痕跡としてのクレーターが残されているためです。
つまり、月が形成されたばかりの初期に形成されたクレーターは非常に検知しにくいために、たくさん見逃されている可能性があり、その意味で、形成されたばかりの月は、これまで考えられていたよりも、たくさんの小惑星などに襲われていた可能性があるというわけです。実は、形成されたばかりの月は、これまで考えられていたよりも、たくさんの小惑星などに襲われていたことを示唆する研究成果はこれまでにもありました。今回の研究成果はそのような研究成果の1つの説明になりえます。
研究チームでは惑星の形成と進化を考える上で「このような小惑星などの衝突の痕跡であるクレーターや小惑星などの衝突がどのようなものであったのかなどを理解することはとても重要である」としています。
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Image Credit: Curtin universit
Source: カーティン大学のブレスリリース/論文
文/飯銅重幸