スペースXの有人宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」レジリエンス号が現地時間9月18日、フロリダ沖に着水し、3日間の旅を終えました。
このミッションは「Inspiration4」と呼ばれており、初めて民間人だけで宇宙へ行き、地球を周回するミッションです。クルーのジャレッド・アイザックマン氏、ヘイリー・アルセノー氏、シアン・プロクター氏、クリス・センブロスキ氏は、現地時間9月15日にケネディー宇宙センターから打ち上げられました。軌道上では様々な実験や地球の写真撮影などを楽しんだということです。
着水した宇宙船は回収船「Go Searcher」により洋上から引き上げられました。クルー4人全員が宇宙船から出て、医学検査などを受けているということです。今後はヘリコプターを使用し、ケネディー宇宙センターへ戻ります。
このミッションは小児がんや白血病などの研究を行うセント・ジュード小児研究病院への寄付を目的として行われました。寄付金は、小児がんなどの研究に役立てられるということです。この病院は、クルーのヘイリー・アルセノー氏が現在看護師として勤務している病院であり、また、10歳の時に患った骨肉腫の治療を行った病院でもあります。ミッションでは、病院とクルーを結んで宇宙での生活などを伝える取り組みも行われました。
ミッションで使用されたクルードラゴン・レジリエンス号には、地球と宇宙を360度見渡すことが可能な「キューポラ」と呼ばれるドームが設置されました。クルーはその場所から地球を眺めたり、写真撮影をしたりして、楽しんでいました。キューポラのある場所は本来、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングポートとして使用されます。しかしこのミッションではISSへのドッキングを行わないため、キューポラを取り付けたということです。
さらに帰還時に行われたスペースXによる中継では、船内の様子が映し出されました。クルーは一人ずつタブレットを渡されており、それを使用して操作などを行います。クルーの一人であるクリス・センブロスキ氏は映画を視聴している様子が分かります。この様子には中継の司会をしていたスペースXの社員も驚きを隠せない様子でした。
このミッションは世界で初めて民間人だけが搭乗して実施されました。スペースXによる打ち上げから帰還にいたる一連のスムーズな流れは宇宙旅行時代の幕開けの象徴となりそうです。
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Image Credit: Inspiration4 Twitter/SpaceX Youtube
Source: Inspiration4/Space News
文/出口隼詩